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小さな畑の小さな納屋がカフェになりました。


風の通る陽だまりの地から

戦後、祖父母がこの地に入り父母を通して開墾を続けて70年の月日が経ちます。当時この辺り一帯は竹林と雑木林に囲まれた「ひのき山」の愛称で呼ばれ風の通る陽だまりの小さな丘でした。遠い昔、生活に必要なものは全て手作りしていた祖父と父の姿が頼もしく、心安らかな幼い日々を過ごしました。冒険心の強かった20代に音楽を学びながらのイタリア生活で「暮らすための仕事を楽しんで生きる」という生活観に懐かしさと深い共感は、人間の「手」が生み出すマジックのような可能性として大きな魅力なのです。時代とともに「ひのき山」周囲の景観は変化しましたが、地域の人情味にあふれた温かな雰囲気は変わりません。

祖父母が建てた、かつての母屋の屋根には恵比須様の鬼瓦(飾り瓦)がのせてありました。瓦として役目を終えた今も、この地を見守ってくれています。
祖父母が建てた、かつての母屋の屋根には恵比須様の鬼瓦(飾り瓦)がのせてありました。瓦として役目を終えた今も、この地を見守ってくれています。

この上なく面倒で愉快な手仕事

特製のボカシ肥料を父が手作りして耕作する畑には、季節の野菜が収穫され庭の果樹の実はジャムやシロップに加工します。父の農作業の助けと母の竹細工アトリエを兼ねて30年前に建てられた素晴らしい梁の納屋も有り、季節の梅仕事・自家製味噌仕込み・餅つき・甘酒作りなど昔ながらの手仕事も楽しみながら暮らす日々はこの上ないくらい面倒ですが、心から愉快な生活でもあります。この喜びの目を開かせてくれたイタリアでの生活は、私にとって小さな予感となって畑仕事を始める種となりました。  

父の農作業と母の竹細工アトリエを兼ねて30年前に建てられた納屋。
父の農作業と母の竹細工アトリエを兼ねて30年前に建てられた納屋。

晴耕雨歌

たくさんの人々と関わりたいとの思いは、アリのようによく働き、キリギリスのように音楽を楽しむ〔晴耕雨歌〕…手仕事(労働)と音楽(文化)に食事と憩いの場所を提供する「納屋カフェ」に再生することになりました。世代は変わります。地産地消のサイクルを日々の生活で実践する農作業+カフェ+音楽、ここを培ってきた祖父母、父母の丁寧な生活は、この場所が皆様の好き(よき)場所としてさらに活かされますように願いつつお越しをお待ち申し上げます。

 

2021年7月 店主

「納屋カフェ ありときりぎりす」は庭の果樹から作る「ジャム工房」から始まりました。看板にはJam factryの文字が残ります。
「納屋カフェ ありときりぎりす」は庭の果樹から作る「ジャム工房」から始まりました。看板にはJam factryの文字が残ります。